ヤンキーと俺と恋と



夏の日差しがジリジリと音をならすように照りつける。


セミの鳴き声がする。

グラウンドでは、既に野球部員らしき人達が数人走っていた。



…沈黙。


部活動に励む生徒の声としつこいセミの鳴き声が、二人の沈黙の中に響いていた。



「──…なるほど」



龍がボソリと沈黙を破る。

すると龍はスタスタと歩き出し、グラウンドが見える鉄柵に両手から寄りかかった。

俺には龍の後ろ姿しか見えなくなった。



「…まぁ、なんだ、そんな予感はしてたんだ」



赤い後ろ髪が、風でなびいた。