──…今更こんな事言うなんて、ありえねぇよな。ホントズルい。い、今まで協力してたのはなんだったんだって思うよな。…だけど」
下を向いたまま話し続けてる俺。
こんな時でも逃げている自分にハッとする。
…ダメだ。ちゃんと見据えろ。
真正面から龍と向き合い、自分の気持ちを伝えろ。
心の奥で、自分を叱咤する自分の声が聞こえた。
「…だけど！」
俺は前を見た。様々な思いが交錯してるだろう龍の表情を正面に捉えた。
「俺は愛美が好きなんだって、それはもう何があっても揺らぐ事のない、真剣な思いなんだって気付けた！」
龍も俺の顔を見てる。
その表情からは怒っているのか、悲しんでいるのか…読み取る事はできない。
「だから…ごめん。龍の思いに賛同できない。本当に、ごめん」
