燦々と照らす太陽。雲一つない青空。
まさに夏休みが始まるという事を祝ってくれているかのような、今日の天候。
セミの暑苦しい鳴き声が拍車をかけていた。
「屋上好きだな~お前。一体なんだよ、大事なハナシって」
後ろから龍が聞いてくる。
俺は振り返り、龍を見た。怪訝そうな表情。
「…えっと…その…」
今から言う事。
それは何度も頭の中で繰り返した。
だが、いざとなると萎縮してしまう。
これを伝える事で、俺と龍の今の関係は変わるだろう。
それも、恐らく良くない関係に。
その予感が二の足を踏ませる。
…やっぱりやめとくか?別に今日伝える事ないんじゃないか?今日は終業式、明日から夏休みが始まる。これからいくらでもチャンスはあるんだ。そんな急がなくても、とりあえず今日のところは…
足踏みを促す、魔の妄想。肝心な事は先送りにして、現状況の安泰を得ようとする。

