そこで、教室から出てくる龍の姿が見え、思考が中断した。
「──り、龍!」
慌てて呼び止める。
今から重大な事をやろうと決意を滲ませている龍の顔が、こちらを向いた。
「おぉ、なんだよ歩人」
「ちょっと、ついて来てくれ!」
「はぁ?待てよ、俺今からが重要なんだって!」
だからこそ、だ。
…龍の願望を、俺が断ち切る。
俺は一瞬、瞳を閉じた。今までの龍との思い出が、走馬灯のように蘇る。
…全てを断ち切る。覚悟を秘めて瞳を開き、龍を見た。
「…俺が伝えたい事も重要だ。ちょっと、屋上行こう」
そう言ってくるりと向きを変え、屋上に向かう。
ブツブツと文句を言いながらも、龍が後ろからついてくるのがわかった。
緊張感が高まりドクンドクン高鳴る心臓の音が、今からが決別の時だと伝えているようだった。

