出た時間がまだ早いからか、廊下にいる生徒は少ない。その中を龍の教室まで駆けた。
──ふと、思う。
葉は花火大会の話題を出してきた。
なぜ急にそんなことを?と思った。
だが、今改めて考えると、その話題には意味が込められていたんじゃないか、と感じる。
男二人で花火大会なんて…と思ったが、今までそんな事は一度もなかった。
つまり、葉は花火大会を見に行くのは俺と"誰か"を予想して言ったのではないだろうか。
それを予想するのは、俺が今から何をしようとしているか、それの確信に近い予測が立っているという事。
…葉は随分前から思っていた事があった。
それは今でも揺るぎなく、俺に対する態度は変わってない。
──…今だからわかる。
葉は、きっと…──

