ヤンキーと俺と恋と




「──…という訳で、あとの注意事項はプリントにも書いてあるから、よく読んどくんだなー」



1学期最後のHR。

なんだなは学期末でもいつも通り締めようとしている。



「夏休みは誘惑が多いけど、それに負けないで勉強もしっかりするんだな。先生は子供の頃どんなに遊んでても、勉強はしっかり──」



──…なんだなの『しっかり話』が、俺の複雑な心境の度合いを加速させていた。

早く終われ、と思う気持ちもあれば、まだまだ長く喋っててほしい、と思う気持ちもある。

それが、俺がこれからやろうとしている事がどれだけ深刻かを物語っているような気がする。



「──ではみなさん、良き夏休みを!解散!…なんだな」



俺の心境など知る由もないなんだなは、簡単に1学期を締めた。

起立、礼、と当番が号令をかける。

その瞬間、ワッと弾けるように教室内が騒がしくなる。

俺は一つ深呼吸をして、自分の鞄を手に取った。



「──心配ないと思うぜ」



後ろから声がした。