体育館に全校生徒が集まっていた。
生徒たちの静かな空気がセミの声をより響かせ、本格的な夏を知らせる。
──今日は終業式だ。明日から生徒たちが待ちに待った夏休みが始まる。
長い休みに心を浮わつかせ、この期間に何をしようか何処へ行こうか、との様々な期待が、黙って話を聞く生徒たちから伺える。
海に行こう、花火を見よう、キャンプしよう…
体育館に入る前、そういった話題で盛り上がっている生徒たちがいた。
夏休みは生徒にとって楽しみな事ばかりで、みんなが浮き足立つのも当然だ。
…だが、俺はそれに共感できていなかった。
これからやらねばならないこと。
それが頭の中を駆け巡っていたから。