…だが、今の龍の言葉は、頭から冷水を浴びせられたように感じた。
"自分からいく"
わかってたはずなのに、それを閉じ込めていた。まさに密室に。
それが破られたように、その言葉が頭の奥に浸透してゆく。
…俺は怯えていた。
告白したとして、そのあとの龍との関係が悪くなったらどうしようと。
それを気にして、行動を制限していた。
告白できない言い訳にもして、逃げていた。
…恐かったんだ。
だが、もうやめよう。
そんな事を気にするのは。
良心の呵責は捨て去るんだ。
気持ちを解き放とう。
──素直に、生きるんだ。
…勝手だが、龍の言葉が俺に与えてくれたものは大きかった。
俺の心に、大きな変化をもたらせた。
龍の欠伸している横顔に、俺は決心した。
龍にも全部、伝えよう、と…
第9部 完