……
龍の行動を見てるだけか?
黙ってその状況を受け入れるのか?
再び沸き上がる疑問。
…いや、そんなことできない。
それを頭を振って否定する。
前と同じく自問自答を繰り返す俺。
「──やっぱ二人っきりで過ごせたことが、思い止まらせてんだろうなぁ…」
一人で悶々としていると、龍がそう溢した。
「慣れたはずなのによ。自分からいくってのには。…てか、そもそも告る側が自分からいくのは当たり前か」
苦笑する龍の顔がぼやけた。
──…自分から、いく。
…今までも考えた事はあった。
愛美に自分の気持ちを伝えてしまおう。
そんな思いは幾度となく芽生えた。
だが、無理だった。
もちろん、告白する勇気がなかった事もあるが、一番の理由は龍の存在があったからだ。
同好会を通じて、長い付き合いのある龍。
何回も愛美に告白するのを見てきた。
今度はその俺が、告白する…
…そんな事は許されない。同好会の存在自体の理由が問われる。何よりも、龍の信頼を裏切るような行為。
だから、それは脳裏を過る事はあっても、深くは考えないようにしていた。