そこからは走った。
"廊下は静かに歩こう"の張り紙を無視して、龍の教室の前まできた。
まだ教室に戻ってないかもしれない。
そんな疑問が一瞬頭を過った。
いや、でももう昼休みも終わるし…
とりあえず教室を覗く。…赤髪の後ろ姿が見えた。いた。
「龍!」
大声で呼んだ。
その声に反応して、龍の他にも何人かの視線がこちらを向く。
「…歩人!?どうしたんだ、もう授業始まるぞ!?」
驚いた顔で龍が言ってくる。
「…ちょっと、来てくれ」
ここじゃ話せない、と思って、龍にそう言った後教室を離れる。
あのまま話を続けるのは抵抗があった。
クラスの人達の視線が、驚愕から好奇に変わったのがわかった。
学校唯一のヤンキーを呼び出して、何を言うつもりだ?
そんな言葉が浮いて見えるようだった。
龍が教室を出て後ろからついてくる。
…まぁあの状況じゃ、呼び出したのが龍じゃなくても、注目は浴びてただろうけど。
「…なんだよ歩人?」
俺に追い付いた龍が改めて聞いてくる。
「…ここじゃちょっと…屋上で話そう」
誰かに聞かれたらまずい。…と言うか恥ずかしい。
「もう授業始まるって~」と言う優等生のような龍の発言を無視して、俺たちは屋上へ上がった。

