愛美と朝登校してる時も、学校で葉が無邪気に話してる時も、俺はずっと無言だった。
愛美とも葉とも、話す事はたくさんあった。学校生活の事。夏休みが近付いてきてる事。特に最近じゃテスト結果の事。
…だが、どの話も頭に入ってなかった。
――今日、昼休み、龍は愛美に告白する。
その事だけが俺の頭を支配していた。
今朝の登校中も、愛美に言いたい事はあった。
(――龍から、また告られるぞ)
龍と愛美にはなんの変化もないだろうと予想して、愛美との登校中、俺はこっそりとそう思っていた。
龍の面白おかしい奇行は、俺を楽しくさせていた。その行動は、俺の心情にも良い影響を与え、ある意味俺の愛美と話す会話の内容の一部にもなってたんだ。
…そんな会話も、もうできないんだと悟った。
新たに起きた俺の心の変化が、もう無理なんだと叫ぶ。
それでも俺は、要点だけを伝えたかった。
愛美に、今までのように、簡単に断って欲しくて。
龍が、今まで通り振られると、期待して。
…だが、結局無理だった。
なにも、伝えることはできなかった。
その代わりに、強烈な自己嫌悪が後から襲ってきた。
俺は最低だ。何を期待してるんだ。龍の告白を応援する側のはずなのに、二人がうまくいかなければいいのにと、本気で…――

