「おい!次は無視か!」
憤る葉にケータイの画面を見せた。
“あとで話す”
メール画面にはそう打ち込んだ。そして顎で回りを見るようにしゃくる。
回りにはまだ先生の来る前の喧騒がある。俺の近くにも何人か人がいて、"実は愛美と~"なんて話せる空気じゃない。
葉もそれを理解したのか、黙って席に座る。
もちろん、アトデハナセヨオーラを纏ったまま。
「はい席につくんだなー」
騒がしい教室をたしなめながらなんだなが入ってくる。皆はゾロゾロと席につき、次第に静寂が訪れた。
「…お!中村!今日は遅刻せずにこれたんだな」
なんだなの視線が俺に向く。
「なるほど!夏休みが近いから張り切って早く来ることにしたんだな?でもその心意気、三日坊主にならないように!なんだな!」
陽気に注意してくるなんだなに、こいつ前も同じ注意じゃなかったっけか?と思う俺だった。

