ヤンキーと俺と恋と




「えっ?なに?」

「高校の一学期。終わっちゃうね。なんだか早く感じたなぁ」



愛美が思い返すように空を見上げる。



確かに…色々あって早く感じた一学期だった。



「高校生活って、こんな感じで過ごして、終わっちゃうのかな…」



愛美のその台詞には悲壮感が漂っているように感じた。



――…様々なものが凝縮された一学期が、一瞬だと思うほど早く流れていった。


人生の中で、高校の三年間はかなり密度の濃い時間だと聞いたことがある。


そしてその分、時が立つスピードは風を切る矢の如く、早いのだろう。光陰矢の如し、と言う諺があるように。


そう考えると、俺にあった"様々なもの"は、これから待つ長い長い人生の中では、ほんの"些細なもの"に思えてきた。


そんな早く通り過ぎてしまう、今。
それなら今、この瞬間、一瞬一瞬が大切な時間なんだ。



「――いいんじゃねぇの?」

「え?」



愛美の目線がこちらを向く。