元に戻る。ただ、それだけ。


簡単な事だよ、と言うような笑顔。



…俺が愛美に対して感じていたもの。正直、迷惑をかけていたと思う感情。


それが全部綺麗に溶けていくような…そんな感覚を抱く。



「…歩人?」



愛美が顔を近付けてくる。



「…いや!なんにも!その提案は賛成!とりあえず、ありがとう!」

「…お礼ばっかりだね歩人。まぁ、そーゆー事だから!ごめん足止めちゃって…。帰ろ?」



そう言いつつ、愛美が前に出る。
その足取りは、心なしか軽くなったように見えた。



俺もその後に続く。胸の中で感謝しながら。

…だが、歩きながら、思う事があった。