ヤンキーと俺と恋と


「よし、作戦会議だ。とりあえずよ、あれだ、愛美ちゃんの好きな物とか教えろよ」

「…好きな物?」

「おうよ。食べ物とか有名人とか…まぁどっかそこら辺だよ」

「…そんな物知ってどうすんだ」

「俺はもっと愛美ちゃんを知りてんだよ。その方が付き合った時いろいろと役立つだろ」


…なんだその先を見越した真面目さは。

その真面目さはもっと学校生活の方に生かせっつの。


「…ん〜。実際俺もそこまで愛美を知ってる訳じゃねぇからなぁ」

「あぁ?」


冴島がギロリとこちらを向く。


「…イヤ、有名人はわかんねぇけど、好きな食べ物とかなら少しは知ってる」

「ほぉ…で、なによ?」

「えぇっと…確か海鮮パスタとか好きだったかな」

「かいせん?…って何だよ?」


んな事もわからねぇのかっ!


「…海鮮パスタってのは海の幸をふんだんに使ったパスタの事だよ。海老とか貝とか中心の」

「…最初からそう言えや!」


ゴツン!


「いってぇ!!」


またもや理不尽な理由で殴られる。


もう頭タンコブだらけだ。


「いってぇよ!いちいち殴んなよ!」

「あん?」

「すいませんなんでもないです」


冴島がまた拳を振り上げたので即座に謝る。


身がもたねぇ…こんなのが続いたら…