「…ありがとう。そう言えば愛美、この前の件…アレがあってから傷ついてるかなって、俺は思ってたけど、校長室に飛び込んできて抗議したのは完全に予想外だった。…あの件、お前実際どう思ってるんだ?」
俺がお守りを受け取った後、愛美を見て尋ねた。愛美は前を向いたままで、表情に変化は感じ取れない。
「…実際、恐かったよ。連れてかれて、口塞がれて、柱に縛られて…。なんであたしがこんな事にって…これからどうなるのって…すごい不安だった。それは今思い出しても震えるくらい。ホントに、恐かった…」
強制的にされるがままになり、抵抗出来なくなっていく…。どんどん不安に飲み込まれていく感覚。それは実際にそれをやられたものにしかわからないだろう。
俺はその時の愛美の心境を想像し、心苦しくなっていると「…でも」と愛美が続けた。
「その時、歩人が来てくれた。制服も髪も濡れていて…息も切らしてて…その姿はどっちかと言うと悪役の方が似合ってたくらい」
悪役ね…。まぁ生に合ってるかもな。そう思ってると、愛美は続けた。

