俺も仕方なく、のそのそと教科書類を鞄に詰め始めた。
「歩人!俺サッカー部に決めたぜ!」
後ろで葉がうきうきと言ってくる。
「そっか…よかったな」
「歩人、お前マジで何も入んねぇの?」
「あぁ、入らねぇよ」
ある意味今から部活だけどな。最悪の。
「勿体ねぇなぁ。高校の部活ったら青春じゃねぇか。みんなと一緒に汗と涙の青春の一ページを刻もうとは」
「思わねぇ」
葉の言葉を切り、スッと席から立つ。
葉はムスッとしている。
「ちぇっ、お前は変わらねぇなぁ。ま、入りたくなったらいつでも言えよ!」
葉の言葉を背中に、手を振りながら俺は教室を出た。
…青春の一ページ。刻めるもんなら刻みてぇよ。部活動なんて今から行くとこに比べたら百倍はマシだ。
昨日やっぱ葉と部活見に行っておけばよかったかな。
俺は冴島の待つ体育館裏に向かいながら、先に立たない後悔をしていた。

