観覧車は頂上に近づいていた。
「もうみんな小さーい。あっ、見て見て!あのお土産屋さん!あそこ愛美が行きたがってたんだー」
愛美、という単語にビクッと反応する。
「へ、へぇ…なんで?」
「なんかお守りに効果があるとか。それ欲しいみたい。あそこ、手の部分の怪我によく効くお守りおいてあるらしくって…──」
──電流が走った。
怪我なんかしてないのにねー、とユキが笑う。
──あの時の怪我…今日は皆が気にすると思って包帯をしてきてないが、本当は今でも左の掌が痛い。
左腕を使う事は極力避けてきたが、それは誰にも悟られないようにしていた。いらない心配をかけさせたくなかった。その甲斐あってか、龍は気付いてない。
…だが、愛美は恐らく気付いていたのだ。
あの時の怪我の具合を知っているのは愛美だけ。
つまり、そのお守りが欲しい理由は、俺を心配して…──
──…観覧車が頂上に達した。
それと同時に、俺の心の中で固く結ばれていた糸が、するするとほどけていく感覚があった。
俺の中に生まれた、違和感。
龍の喜びに共感出来なかった気持ちへの答えが、今わかった。
──そうだ。
俺は好きなんだ。
愛美の事が──

