…が、気持ちが段違いになっても、人の多さには何の影響もない。
ただ、走り回っただけ。気付けばもう日が沈む時間になっていた。
さんざん走り回った俺達が安らぎを求めたのは、観覧車だった。
閉園時間が近付いていてか、人が少なくなっていて、それにはなんとか入る事が出来た。
「──足元にお気をつけ下さーい」
従業員の声を最後に、外界から遮断された。
俺も、俺と対角線上に座るユキも、今までずっと走っていたので、やっと羽を休められた気分だ。
「──ごめん!」
一息ついて、先ず俺は謝った。
「さんざん一緒に走らせて…それでできたのが最初の釣りだけだったなんて、本当に情けない!無意味な時間だった!これならどこか腰下ろせる場所に最初からいた方がよかった!本っ当にごめん!」
俺の謝罪にユキは笑って手を振った。
「いやいやいいよ!そんなの気にしないで!走ってる最中、中村くんの気持ちは伝わってきたよ。それだけで十分!てゆーか、色んなとこ見れて割と楽しかったし」
それに、とユキが上がってきた観覧車の窓から外を見る。
「ほら…良い~景色じゃない?この景色を見るために今まで頑張ってきた、と思えばいいんじゃないかな」
外に目をやる。観覧車はゆっくりと上昇してゆく。
次第に人の姿が小さくなっていく。それに伴い夕日が大きく写り、遊園地全体を照らしている。
確かにいい景色だ。
「…ありがとう」
ユキには…本当に感謝しなければ。こんな失態を笑って許してくれる、その姿に感謝する。
それと同時に、何か懐かしい感じがした。

