「いいよ?それぐらい」
愛美が続ける。だが龍はまともに答えれないようになっていた。
「…ま…マジか…。愛美ちゃんとデートなんて…予想してなかった…」
龍は気が抜けたようなそんな顔をしていた。
「そ…そんな驚く事じゃないでしょ?普通の事じゃない」
愛美がそう言っても、龍には聞こえてなかった。
何やらボソボソ呟いてる。まさか成功するなんて思ってもみなかったんだろう。
「……聞いてないね…。とりあえずいついくか、はまた今度決めよう」
そう言って愛美は俺達二人に挨拶して去っていく。
龍はまだ呟いてるままだった。それを横目に、俺は考えていた。
──許してくれたのかな…?
そんな疑問が出てきた。
それと同時によく分からないものがこみ上げてきた。
なんだこの感情…
自分自身に湧き上がった謎の感情。その感情は今まで経験した事がなかった。
初めての感情に不信感を抱く俺。
その感情を抱いたまま、去っていく愛美の後ろ姿を見続けていた。
第7部 完

