校長がそう言って手をヒラヒラと振る。校長を見た後、俺と龍はゆっくりと離れた。





「ありがとうございました!」


「…ありがとうございました」





俺の後に続くように、龍も頭を下げた。





校長はそれを手で合図して、何も答えなかった。教頭も座ったままだ。





「失礼しました!」

「…失礼しました」





俺と龍は校長室から出た。扉を閉め、職員室から出た途端、二人に喜びのスイッチが入った。





「──やったな龍!退学は取り消しだってよ!」


「信じられねぇよ!校長が言ってることを変えるのは珍しい事らしいぞ!」


「なんにせよマジで嬉しいよ!まさか取り消してくれるなんて思っても見なかった!」


「あぁ!それも全部…──」




ガラッ




「失礼しました」




愛美が出てきて、扉がしまった。龍は愛美の方を向いて止まっていた。





「──…愛美ちゃんのおかげだな!」





龍のその言葉に、愛美は止まった。





「な…何?」





愛美に龍はニコニコと笑みを浮かべていた。




「いやぁ、まさか助けてくれるなんてね〜」





笑っている龍とそれを眺める俺。二人とは対照的に、愛美は冷たくあしらっていた。





「…先生の決定を担任から聞いて、納得できなかったの。ただそれだけの話」