その言葉に、愛美は顔を上げた。
「今回は大目に見ましょう。冴島君の退学と中村君の処分は取り消しにします」
校長のその言葉に、俺と龍は顔を見合わせる。その後、喜びが沸き上がってきた。
「ほ、本当ですか!?信じていいんですね!?」
「…信じられねぇ…退学が取り消しになるなんて…」
俺は現実の事だという確認をしていた。龍は退学にならなかった事がまだ受け止められないみたいだ。
「本当に退学は取り消しなんですね!?龍〜よかったな〜退学は無しになったってよ!」
俺の喜びようは校長室で際立っていた。龍は呆然としたままだ。
「ちょっ…よくわかりましたから、はしゃぐのはやめなさい!」
校長の焦ったような一言。
「やれやれ…私の中で本当に許してよかったのか、迷う日々が続きそうですね」
校長は呆れたようにため息を吐いている。
「──…もう行って良いですよ。これ以上話すことは何もありませんから」

