愛美は頭を下げて、そのままになっている。
場には静寂が流れた。
愛美は頭を下げたままで、校長は複雑な顔で愛美を見ている。
俺は頭を下げたままの愛美を見続けていた。
…愛美は俺達を救うためにここまでやって来た。改めてそれを理解する。
…正直、俺じゃ無理かも…と諦めてしまう気持ちは、少なからずあった。
だけど諦めるわけにはいかない、という気持ちも強く、俺の中で葛藤があった。
…それを、一人の少女が現れ、場は一変した。
絶望的な状況に、希望の光が射し込むように。
暗い暗い穴の底に、救いの手が差し伸べられるように。
──…暗雲を分かつ、虹のように…──
校長は何かを考えるような素振りを見せた後、ため息と共に愛美を見た。
「──……分かりました」

