「お願いします!冴島君は被害者なんですよ!?それを見過ごすんですか!?」


「被害者?なぜですか。被害をもたらしたのは冴島君の方じゃないですか。何でそうなるんですか」





愛美と校長の言い争いが続く。俺と龍は黙ったまま聞いていた。





「確かに冴島君はこの学校では、被害をもたらしました。ですが、学校ではない所で、不良たちから多くの被害を受けました。それは肉体的にも精神的にも大きな傷だったと思います。だから被害者だと言ったんです」




愛美がそう言い切ると、校長は黙った。





「冴島君がした事は確かに悪い事かもしれません。喧嘩する事は悪い事だと思ってます。しかし…」





愛美が龍に視線を向けた。龍は俯いたままで気付いてなかったが、俺は正面を向いていたのですぐに気付けた。





「…今回した事は間違ってないと思います。人を助けるためにした事です。誰にでも出来る事じゃありません」





愛美はそう言うと、さらに校長を見つめた。





「お願いします!処分を取り消してください!」