「まず、冴島君。言ったことは覚えてますか?」
龍はなにも答えない。…と言うより、なにも答えられないのだろう。
「次になにかしたら退学、といいましたよね?」
退学…
はっきりとそう言われ、ズシリとなにか重い物が乗っかった感じがした。
「まさか、こんな事になるとは…予想していませんでした」
教頭は頭を抱えるようにした。校長はなにも言わず、黙ったままだ。
「冴島君は分かっていますか?事の重大さが」
教頭が龍に聞く。
「…はい。分かっている…と思います」
龍がたどたどしく答えた。言葉がなんとなく暗い感じなのは気のせいじゃないだろう。
「停学だけじゃ問題にならないと考えているのですか?」
教頭の質問に、「いや…」としか答えられない龍。龍の辛さが俺にも伝わってきた。

