ヤンキーと俺と恋と






「でもよ…どうやって…」





葉は不安げな表情を浮かべる。





「…大丈夫だ。言い訳なら昨日散々考えてきたから。納得させてみせる。……絶対に」





その言葉は、まるで自分に言い聞かせてるようだった。





正直、具体的な言い訳は全く思いつかなかった。





警察沙汰にまでなった大事だ。俺はまだしも、龍は職員室に入った瞬間ハイ退学です、と切り捨てられてもおかしくない。





だけど先生たちは詳しい事情は全く知らないだろう。





友達を助けるため、という大義名分の下に行った事だとわかってもらえたなら、情状酌量の余地くらいあるだろう。





…俺が反論できるとしたら、それくらいだ。





「…はい、席につくんだなー」





律儀にもチャイムと同時に教室に入り、生徒を窘めるなんだな。





…今日は先生の印象を悪くするわけにはいかない。




だからこそ今朝は断腸の思いで紗代に起こしてもらった。




勝負はもう始まっている…。





俺は真面目にノートを開き、教科書とのにらめっこを始めた。