「アイツ…バカだけどよ。変に責任感は強いんだ。リーダーシップっていうんかな。仲間を守りたいって気持ちが、昔から人一倍強い。だからそんな事言ったのかもな」
頭を掻きながら、苦笑する龍のその姿は、昔から知る友人を庇っているように見えた。
「…今回の事は…愛美ちゃんを深く傷付けたし、お前にも酷い事した。決して許される事じゃねぇと思う。
…だけどアイツは必死だったんだ。アイツなりに考えて、導き出した答えがこんな結果だったけど、きっと何か掴めたモノがある…俺はそう思った」
龍は真剣な眼差しで、俺を見る。
「…歩人は…タクマを恨んでるか…?」
その質問は無意味だと思った。
その話を聞いてから、俺がタクマに対して感じたものは、今龍が言った事とほとんど同じだったからだ。
…いや、もっと前……龍とタクマが殴り合っていた時から、タクマの変化にはなんとなく気付いていたのかもしれない。
「…恨んでないよ」
俺は表情を和らげて続けた。
「そりゃ殴られたり、愛美の姿を見た時はもちろん苛立ちはあった。だけど今はもうないよ。
…自分の犯した過ちを認める事って、実は難しい事だと思う。タクマは今の龍を見て、接して…何かに気付く事ができたから、認める事ができたんじゃないかな。だからきっと…本当は悪い奴じゃないんだよな。それだけはわかった」

