…なんで二人きりなんだ?なんで体が痛む?…そういやさっき殴られたとか……
思考能力が回復し、だんだん記憶が蘇ってくる。
そして
「あぁっ!!」
俺が声を上げると、警官は驚いたように肩をビクッと震わせた。
「ど、どうした?」
「あっあの…龍と愛美は……」
俺は何があったかを思い出した。
…そうだ。
俺と龍と愛美は不良たちと工場にいて、俺は殴られて気を失って……龍はタクマと……
俺がしどろもどろになっていると、警官はその様子を見て笑った。
「冴島と押川さんの事だね?二人とも大丈夫だよ。冴島はケガはあるが大したケガじゃない。押川さんは精神的に辛そうだったが、ここへ来て大分落ち着いたみたいで、先程親御さんと帰っていったよ」
俺の聞きたい事を汲み取ってくれたのか、警官は端的に伝えてくれた。冴島、と何故か呼び捨てなのが多少気になったが。
「…そうですか……」
安心からか気が抜ける。
それと同時に、思い出したかのように体に痛みが戻ってきた。