なんだ?なんなんだ!?俺なんかしたっけ?全然身に覚えがねぇぞ!しかもどこつれてく気だよ?やっぱ俺これからボコられるのか?つーか、みんな見てねぇで助けてくれー!!
救助懇願の眼差しを他の生徒達に送るが、皆さん見て見ぬフリを決め込んでいる。そりゃそうか。俺が逆の立場でもそうする。
冴島は黙ったまま俺を引っ張っていく。
次第に生徒の姿が見えなくなり、希望の糸が断たれたところで、掴まれていた肩を離された。
ここは…体育館裏か。なるほど、ここで何をしても誰にも見えないし聞こえないだろう。ボコボコにするにはうってつけの場所って事ですか。
俺は壁に背を預けている状態で、冴島はキョロキョロと周りを見回し、誰もいないか確かめていた。
俺は半ばボコられる覚悟を決め、冴島の動向を見た。
冴島は誰も見てない事を確認し、俺に向き直る。そして壁に手をつけ、いかつい顔を俺の目の前まで近づけてきた。
「中村ぁ、ちょっとテメェに聞きてぇ事があんだよ」
聞きたい事…?
「な、なんだよ?」
やっとやっと声を絞り出す。弱気になったらパシリとかにされる可能性がある。
そう思った俺は割と強気な反応をした。

