ヤンキーと俺と恋と


外履きを下駄箱に押し込む。内履きを床に置いて履こうとした時、誰かが後ろから肩を掴んできた。


「おい」


…おい?なんだその朝の挨拶とは程遠い挨拶(?)は。

俺がしかめっ面で振り返ると、そこには…




「オメェが中村歩人だな」




真っ赤な髪をリーゼントに仕立て、昭和のヤンキーのような服装にいかついいで立ちをした、この高校唯一無二のヤンキー、冴島龍平がそこにいた。



…は?なんでコイツが俺を?
てかなんで俺の名前を?
てかなんでこんな朝早くから登校?意外に早起き?



またもや俺の脳内にクエスチョンマークが渦巻く。

解答を出す暇もくれず、冴島は続けた。


「ちょっとツラ貸せや」

「…は?えっ、ちょっ…」


そういって冴島は俺の肩を掴み、せっかく入った校舎から外に出た。

俺は肩を掴まれたままズルズルと引っ張られていく。


その様子を見た周りの生徒達はご愁傷様、といった目で俺を見ている。