太った体格からは想像できない程のスピードでデブが向かってくる。 向かって来ながら拳を作り、後ろに振りかぶっている。パンチを繰り出すつもりなのだろう。 見え見えのテレフォンパンチを身を捻りながら直前でかわす。 「…っ!……やろぉぉ!」 デブは憎々しげに俺を睨み、またも向かってくる。 怒り狂うデブとは対照的に、俺は冷静だった。 もちろん怒りの感情はあった。 しかし目の前の奴が怒りの感情をむき出しにしているので、俺は逆に冷静なれた。