タクマはそう言って、縛られている愛美へと近付く。 「お前っなにすんだ!!」 「焦んなって」 タクマは愛美の前でしゃがみ、口に張り付けられたガムテープをゆっくりと剥がした。 「…んっ……」 愛美はガムテープを剥がされると、苦しそうに咳き込んだ。 「声援があった方が気合い入るだろ?」 タクマは憎たらしくニヤリと笑う。 「…歩人っ!ダメだよ!」 愛美は咳き込みながら必死に俺に訴えかける。 「……」 俺は愛美の言葉を無視し、無言でタクマに視線をやった。