しばらく走ると、前方に古ぼけた小さな廃工場が視界に入った。



雨と曇り空によって作り出された薄暗い雰囲気が、不気味な様相を呈していた。



近付いてみると、工場の入り口に派手な装飾がなされたバイクや原チャリが止まっているのがわかった。




「…ここか…!」




道路に面してはいるが、周りに建つ家は少ない。人気は全くと言っていいほどないので人目に付くことはまずないだろう。



…もしなにかあっても、通りすがった人が来てくれるような場所じゃない。




俺は心の中で覚悟を決める。




入り口の、所々錆びが付いた鉄の引き戸は、少しだけ開いていた。




どうする?



いや考えてる暇はない。




俺は入り口に近づき、思いっきり扉を開いた…──!