「まぁ…エサでも撒いとくか。そいつ好きにしろよ。どうせほっといたら付いてきそうだしな」




タクマがそう言った瞬間、腹部に衝撃が走った。俺の体がくの字に折れ曲がる。



「…がはっ……」



俺はそのまま前のめりに崩れ落ちた。激痛が俺の体に襲い掛かる。



「歩人っ!!…なにするのっ!?」



愛美の叫び声が聞こえる。



「弱っ!一発で終わり?つまんねぇの」



不良達は地面に転がる俺のわき腹に、さらに蹴りを入れてくる。



「やっやめてよっ!!着いてくから!着いてくからもうやめて!!」



愛美の悲痛な叫び声。



「…だってよ。その辺にしといてやれ」



タクマがそう言うと、蹴りは止み、去っていく足音だけが聞こえた。



俺はやっとの思いで顔を上げる。



そこに黙って連れていかれる愛美の姿が目に映った。




「……ぐっ…」




痛みと同時に、なにもできない自分の弱さや無力さに苛立ちが込み上げてきた。