「なぁ愛美ちゃん。この学校にさ、冴島って奴いるの知ってるだろ?」
「……え?」
冴島、という単語を聞き、俺はビクッと反応した。
冴島と…知り合いなのか…?
「その冴島の事でさ、ちょっと話があるんだ。あんた冴島に好かれてんだろ?んで、頼み事があるんだよ」
「……え……そ…その……」
「まぁここじゃなんだし、とりあえず一緒にこいよ」
そういうや否や、金髪は強引に愛美の手首を掴んだ。
「……やっ…」
「安心しろって。別に襲うつもりはねぇから。
…多分ね」
金髪がそういうと、周りの連中が汚い笑い声を上げた。
「──…っ」
気付いたら俺は走り出していた。
不良達に連れて行かれそうな愛美に向かって。
「…っおいっ!歩人っ!!」
葉の声が背後で聞こえた。

