その時、不良グループの一人が場を制するように低い声で言った。
金髪に黒のメッシュが所々混ざった、背の高い男だった。
周りはその声に反応し、シンと押し黙った。
「…あんた名前は?」
ゆっくりと、威圧感のある声で、その男は愛美に聞いた。
「えっ……その……」
愛美は気圧されたのか、モゴモゴと喋る。
「別に名前くれえいいだろ」
金髪の男は口調を変えず、愛美に詰め寄る。
「お…押川……愛美です…」
愛美はビクビクとしながら、自分の名を名乗った。
「愛美ちゃんか…可愛い名前じゃん」
満足そうにニヤリと笑い、男はさらに愛美に近寄った。

