ヤンキーと俺と恋と




「おいおい…なんだあのガラ悪ぃのは…」



葉が腫れ物を見るような目で見ながら言う。




この高校には不良はいない。



いや、厳密に言えば一人いるが、今は停学中だ。



つまりそういう存在はこの高校にいれば必ず浮く。



いくら校門の前と言えど、ゲラゲラと品のない笑い声を響かせていれば嫌でも目立つ。



社会のはみ出し者のような彼らが、この至って普通の高校で腫れ物のように見られるのは当然の事だった。




「…まぁ、あぁゆうのは関わらないのが一番だな」




言って、同じ台詞を以前愛美にも言ったのを思い出した。



あの時は、同じように冴島も校門の前で座り、生徒を威嚇するようにガンとばしていた。


関わらないのが一番だって言ったのに、なんだかんだ結局関わってるな。



そんな事を考え、一人苦笑した。





校門に近付くに連れ、聞こえてくる笑い声も大きくなる。



品のない笑い声が不快感を煽らせた。






「──…ギャハハハハ!!……ん?…ねぇちょっと!」





不良共の笑い声が止まり、誰かを呼び止める声が聞こえた。



止められたのは…






俺達の前を歩いていた愛美だった……