──…しばらく走り、人気の薄い、体育館と校舎を繋ぐ渡り廊下に来た。
走っている間、ずっと愛美は無言だった。
歩を緩め、俺は愛美の手を離し、愛美と向き合った。
愛美は相変わらずの表情に怪訝さを足して、俺を見てくる。
「……何?」
愛美が静かに口を開く。
その口調には拒絶が含まれているように感じ、胸に痛みが走った。
「あの…さ、…昨日の事なんだけど…」
俺が切り出すと、愛美は嫌な事を思い出したかのように、俺から目をそらした。
「冴島の事で…どうしても伝えたい事があるんだ」
愛美の様子から、このまま話し続けるのには抵抗があった。
そんなのはわかってた。
だけど止めるワケにはいかない。
俺は愛美の目を強く見て、続きを話し始めた。

