愛美はうつむき、髪で表情が見えなかった。
「…やっぱり…………ってた……」
愛美はうつむきながら、静かに呟いた。
「え……?」
「どういうつもり…?」
愛美が顔を上げる。
その顔はさっきまでの無表情とは違い、哀しげな表情だった。
「ど…どういう……って…」
「なんでこんな事してるの…?」
愛美が俺に近づき、詰め寄る。
「俺は………冴島の想いが本当に真剣だったから……愛美の事も知ってるし……協力してあげようって……」
「……そっか…」
愛美はポツリとこぼし、それ以上なにも言わず、校舎へと戻っていった。
愛美を呼び止める事もできず、俺はその場で深い喪失感を感じながら、去ってゆく愛美の姿を見続ける事しかできなかった……。
第4部 完

