「うわぁ…ガラ悪いね…」
愛美がヒソヒソと俺の横で小声で話す。
「まぁあーゆーのは関わらないのが1番だな」
俺も小声で返し、足早に校門からでた。
冴島は入学初日、いきなり他校の生徒とケンカし、相手が三人いたにも関わらずボコボコにしたらしい。
冴島の噂は凄まじく、『素手で熊に勝った』とか『不良100人相手に無傷で勝利』、酷い物で『人を殺した』などの噂が、もはや学校で広まっている。
まぁそれは言い過ぎにしても、それだけ彼は学校で最恐な存在と化しているのだ。
ケンカした冴島を学校の先生達は停学処分にしたらしいのだが、は?停学?しらねーよ、といった感じで普通に学校に来ている。まぁ授業は当然の事、受けていない。
そんな彼の凶暴さからか、先生たちは構わず学校に来る彼に何も言えないでいる。
しかし、一体奴は校門の前で何をしてるのだろう?
学校の生徒全員を威嚇してるのか?
それとも誰か探してるのか?
はたまたうんこが漏れそうだが、みんなのいる学校じゃトイレに行きづらいのか?
…俺がその理由を知るのは次の日の事だった。
そして、俺の平凡な生活が終わりを告げるのも……

