ヤンキーと俺と恋と




男は偉そうに後ろで吠えている。


冴島は怯む様子も見せず、ただその二人を見据えていた。




…っていうかそんないかにもスポーツに燃えていそうな奴らがなんでファンクラブに!?


しかも二人掛かりなんて…




やべぇ…俺ケンカなんて小学校以来したことねぇ…



一応握り拳を前に出し、構えをとってみる。


そして近づいてくる二人を見る。




…ダメだ…勝てる気がしない…。



「歩人。お前は下がってろ」



俺の前に立つ冴島は、前を向いたまま俺にそう言った。



「えっ…?」




「うぉおおおお!!!」
「おらぁああああ!!!」



俺が冴島を見ると同時に、2号と3号は冴島へと突進してきた。



「さっ…冴島!!」






───……っ






俺は目の前の光景が信じられなかった。




突進してきたと思った二人は、何故か宙を舞っていた。




その下には握り拳を天へと振り上げている冴島の姿があった…。