「冴島!どうしたんだ?」
追いついた俺は冴島が押さえ込んでいるそいつに目を向けた。
「お、お前は…」
顔に見覚えがあったワケじゃない。
見覚えがあったのはそいつの額に巻かれているハチマキだった。
「てめぇは…この前のファンクラブの連中か!?」
「フフフ…バレてしまっては仕方がない…」
その声は冴島に押さえつけられている奴から発せられたものではなく、前方で腕を組んで立っている男からのものだった。
額にはやはりあのハチマキが巻かれている。
「全く…君達はどこまで我々の邪魔をしようというのか」
逃げていったと思われたほかの数人も、そいつの隣にまるで兵隊のようにズラリと並び、仁王立ちしていた。冴島が捕らえていたハズだった男もいつの間にかそこに加わっている。

