そういえば、黄緑色で、中央に光の帯の走った石を、ピアスにしていた。

「彼も、石に力を借りるタイプの、魔族、なの?」
サエコは首を横に振った。

「人間よ。いえ、元人間。あなたをここから返すために、彼の手をかりたくて、呼び寄せたの」

・・・って、知り合い、だったのか?

まだ、訊きたいのに、サエコは、微笑むと、背中を向けた。

向こうには、カーシーがいる。

サエコは右手を、頭のそばまで振り上げると、サッと横に振り下ろした。

とたん、ルカはさっきの赤い光に取り囲まれた。

『さよなら、ルカ』

サエコの声がした。

赤い光の外側の風景が、ゆがんで消えてゆく。