俺は歌舞伎町についてはテレビや本で知っていたが、実際きたのは初めてだった。

ヤクザと夜の住人の欲望うずまく危険な場所。

犯罪は日常茶飯事。

そういうイメージしかない。

俺がフラフラしていると、多くの人間が声をかけてくる。

「いい仕事あるけどやらない?」

「月五十万稼げるから」

そういう甘い言葉ばかりだ。

俺の心は揺らいだが、声をかけてきた人間の見た目はひどいものだった。

胡散臭さと、いやしさと、腹黒さの塊のような顔をしている。

そいつらの顔は明らかにまともな人間の顔とは違っていた。

だからとりあえずは俺は無視をした。

しばらく歩き回り、俺はやはり何かしなければいけないと焦った。

そんな時、ある人間が声をかけてくる。