俺の顔は睡眠不足で疲労感丸出しの顔になる。

目の下は黒いクマができ、眼球は真っ赤に充血した。

身体もさらに痩せこけた。

それでも売り上げは満足いくものではなかった。

現時点で小計三万円。

思うように結果がでない。

二週間で目標の小計十万の半分も売り上げられていない。

俺は頭をかきむしり悩んだ。

報われない努力ほど虚しいものはない。

俺は悩みに悩んで、仲の良い先輩のレイヤに、見栄も誇りも何もかも捨てて相談することにした。

レイヤは毎月ナンバーに必ず入っている。

ナンバーワンを目指してシャンパンを入れまくるレイヤに俺は憧れていた。

俺は泣きながら言った。

「売り上げがどうしても上がんないんです」

「リュージ。お前は優しすぎるんだよ」

レイヤに急にそう言われた。

何のことだか俺はよく分からなかった。

「俺たちは鬼にならなきゃダメなんだよ。なれるかリュージ?」

「はい。俺はホストで成功しなきゃないんです」

しばらくレイヤは考え込み、そして口を開いた。

「ライバルは増やしたくねえ。今日教えることは誰にも言うなよ」

「はい」

俺にはレイヤの教えしか生きる道はないのだ。

「俺たちホストはな。女と友達やセクフレじゃダメなんだよ。とことん女を惚れさせなきゃならねえ」

「はあ」

「いいか。ホストってよりかな、結婚詐欺師にならなきゃねんだよ。友達やただのホストに百万使うか?」

「使いません」

「そうなんだよ。俺は表には出さないけど、売れてるホストっていうのは好きでもない女とセックスしなきゃねえし、結婚を匂わせたりして金を使わすんだよ。クリーンなホストなんてありえねえんだ」

レイヤの冷たすぎる目に俺は狂気を感じていた。