その時、内勤の直也がユウタに話しかける。

小声で何を話しているか分からなかった。

「すいません。席はずれてって直也さんに言われちゃって。リュージ、ユキさんにごちそうさまして」

「はい。ユキさん、ごちそうさまでした」

俺はビールを飲み干して頭を下げた。

「リュージありがとうな!」

レイヤが手を差し出してくる。

握手をする。

「ありがとうございます」

「リュージ君ありがとうね。がんばってね」

ユキも優しい言葉をかけてくれた。

俺は嬉しくて涙が出そうだった。

「よし、こっちきて」

俺は席を離れユウタの後をついていった。

入り口の受付に行く。

直也がイスに座っていた。

「リュージ今日はこんぐらいでいいよ。飲まされたりしてたから疲れたろ。どうだった?」

「マジ楽しかったです。ホストって楽しいですね」

「そうだろ。じゃあ明日からもきてくれよ。オーナーには伝えとくから」

「合格ってことですか?」

「当たり前だよ。席、盛り上がってて良かったぜ!」

「ありがとうございます」

俺はこの時ほど嬉しい時はなかった。

ホストとして働ける。

こうして俺は歌舞伎町ホストクラブ、『ディープラブ』のホストになった。