すべての、始まり。~貴方しかイラナイ~



恥ずかしさと嬉しさとが混ざり合って、俯いてしまったあたし。



どうして、キスなんて・・・





「…抑えようとしたのに――」



「え・・・?」


発せられた言葉の意味が分からず、思わず顔を上げてしまう。




すると拓海は一笑して、あたしの頬を濡らす涙を拭ったあと。




グイッ――

そのまま腕を引っ張って、一緒にソファから立ち上がらせた。




「わっ…、ちょっ――!」


フワッと宙を浮くように抱き上げられて、颯爽と歩き始める。




「た、拓海っ・・・」



「・・・・・」


呼び掛けにも応じることなく、私を抱えたまま歩を進めていく。