「・・・んな、聞いてくれ」
艦長の呼び掛ける声でどこかに飛んでいた意識が操縦室に戻って来る。

「諸君のおかげで第一ステップは成功した・・・」

「我々は我々に可能なことの中で最良の選択をして、最高の行動をとれたと言えるだろう・・・」

「だが、すまない。次のステップは・・・」
艦長がみんなを見回す。

「運を天に任す、しかない・・・」

自分の飲み込んだつばがのどでごくりと音をたてる。

「人事を尽くして天命を待つ。我々はできるかぎりのことはした。天を信じよう」

「つまり、”高速道路”は一方通行の可能性があるということですか?」
クリスが現状の説明を受けた時に聞いた”例え”を持ち出して質問する。

「その可能性もある。入口に辿り着けない可能性もある。どんな可能性もありえるだろう。全ては推測を基にした作戦でしかないからだ」

「艦長!」
サラが二人の会話を遮る。
「どうやら”高速道路の上り路線”にのれたようです」

「なに?」

「ナビゲーションシステムの表示が再びなくなりました。来た時と同じように・・・」

「そうか・・・」

「天はまだ私たちを見放してはいないようですね」

「うむ。・・・”もし”行きと同じであれば約三ヶ月後にはその答えも出るだろう」

三ヶ月・・・

絶望的に長い気がした。

「いずれにしても、行きと同じ空間に入れたと今は考えるしかないし、その推測に従って進んでいくしかないのだ。最大限の注意を払って監視、操縦にあたってくれ」

クリスから始まるシフトで任務にあたるように艦長は指示を出して、シフト外の者には操縦室を出ても構わないと言った。

自分のすべきことをする

という精神はすでにみんなに行き渡っていたので、

休憩にあたっている者はみな休憩に入った。