She and I・・・

--何故、こんな船に乗ってしまったのか--
と後悔しながら、彼女のことを考え、
副操縦席に座っている僕の横で、クリスは一人戦っていた。

端正な顔立ちのクリスは、実際の年齢より若く見られがちだが、30歳を少しばかり越している。

若手というよりベテランの域に達しているが、現役のパイロットとしてエースだった。

性格も明るく後輩の面倒見の良い男だ。


そんなクリスから明るさは消えていた。

もちろん、

それはクリスに限ったことではなく、

帰ることが出来ない

という恐怖--死に繋がる恐怖--

と戦っている今は、誰もが明るくなどいられなかった。


「イタル、ちょっと代わってくれないか」

穏やかな口調でクリスが言う。

もちろん今までにも交代したことはあるのだが、どこか違う気がした。