彼女の勉強を見て、家庭教師など必要がないほど彼女は優秀だとすぐにわかった。

実は、大宮先輩が僕に家庭教師をさせたのには別の意図があったのだった。

後になって教えてもらったのだが、彼女の家庭教師に僕をつけたのは、彼女の為ではなく僕の為だった。

大宮先輩が言うには、

--君は成績は優秀だし、マシン類のオペレートにも長けていた。

しかし、人付き合いが下手だった。

宇宙空間に出ていくにあたって、絶対に必要なもの

”コミュニケーション能力”

に不安があった。

しかし、もともと君は本当に人付き合いが苦手なんだろうか?

そこがわからなかった。

それで試しに家に招待してみた。

断られることもあるだろうと予期してみたが、来るという。

おまけに妹とうまく話せているみたいだ。
ああ見えて妹は打ち解けない相手には、非常に冷たい態度を取るのだ。

これは、と思って、
もともと頼もうと思っていたオペレーターに併せて家庭教師を頼んだんだ。

上京を機会にひっこんでしまった君の社交性をとり戻せるかと思ってね。

宇宙飛行士にはチームワークは不可欠なんだ。

あのままでは、いくら成績優秀だとしても宇宙飛行士にはなれなかっただろう--